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豊平川と漁入沢川の合流点~大二股山登山~

豊平川と漁入沢川の合流点

定山渓の奥、は国道230号線を離れ、深い渓谷豊平渓をつくり上げる。豊平渓ダムによって作られたダム湖定山湖の手前はかなり原初の雰囲気を残した沢が点在している。

今回訪れたこのとの合流点。写真は若干遠い位置からの写真になってしまっているが、そんな点在している豊平川上流域の沢との合流点の一つ。

ただ、私にとってはとても重要な川である。

現在、このブログでもかなりな数登山をからめたエントリーが多いのだが、そのきっかけとなった川でもあるのだ。

川の写真を撮ることを趣味としてはじめた初期のころ、河川情報を集めるために参考にした、札幌市のホームページの中の札幌市の河川分類というページ。一級河川・二級河川などの河川分類のガイドラインとも言えるページなのだが、ページ内には札幌市が管理している、

一級河川(石狩川水系) ●二級河川(新川および星置川水系)
準用河川(一級水系) ●準用河川(二級水系)

の河川名がかかれているのである。

川・撮り歩きをしているものとしてみては願ってもいないページなのだ。

そして、掲載されている河川の場所を

で探してみると、なかなかいけそうにない河川が一つだけあった。

それが、この漁入沢川だった。

他の河川へのアクセスは割りと道路沿いからちょっとがんばればたどりつけれる場所で、バウとの散歩には丁度良いのだが、この河川だけは、一体どうやってたどるのだろうと、インターネットをもっとしらべてみると、登山や沢登の記録がどんどんヒットする。それを呼んでみると国道230号線の望岳橋から標高差250m下の谷間に降りてから云々といった記述ばかり。そんな記述を読んでいるうちに、この川を拝むためには登山スキルが必要なのだと思い込んでしまった。そしてこの川を拝むために登山を始め、その結果が現在の「川と登山と写真(時々鉄道)」のためのブログスタイルとなっていったのだ

今思うと、ここへたどるためには定山渓トンネル先の豊平川右岸林道をたどればよいのだけの話なのだが、そのころの私にとっては林道歩き自体も登山の一種と思えるくらいハードルの高い行為であるので、どのみちこのような結果になっていたのだろう。

なにはともあれ、この川を拝むためのトレーニングが成果を出せたと思えたので満を持して今回のアプローチとなった。

結果は若干遠い写真ではあるが、写真に収めることができた。これで、前述の札幌市の河川分類一級河川(石狩川水系)に掲載されている、全44河川を写真に納めることができた。私にとってはこの日は記念すべき日なのである。

札幌市の河川分類に掲載されている全河川撮影には、

  • 東濁川
  • 旧軽川
  • ポンオカバルシ川
  • 藤野川
  • 左藤野川
  • 東砥山川
  • 道庁排水

の7河川が足りないが、多分年内には残りの撮影もできるようがんばりたい。

ところで、最近のこのブログのテーマの一つ、札幌50峰の一つ大二股山へのルートもここからスタートできるので、むかっていた。今回の山行では私にとっての新たな試みをおこなったのだ。

望岳橋駐車場にて今回の装備

望岳橋駐車場にて今回の装備

上の写真はスタート地点での望岳橋駐車場で撮影したもの。

今回のルート上には長い林道区間と、望岳橋から標高差250mの谷くだりがある。

以前、小白山登行のときに感じた林道歩きにはノーエッジのクロカン板が楽しいのではないかという感想。幸いにも私の手元には父親より譲り受けたYAMAHAのSTD CCというセンター幅45mm程度のノーエッジワックスレスタイプのクロカン板にマーカーの古い3ピンビンディングがついたスキーがあるのだ。靴はこれまたゆずり受けたTOYOというメーカーの古い3ピンクロカンシューズ。

これを装備して今回の山行の林道を楽しもうとおもったのだが、なにぶん望岳橋から急降下はこの板では絶対無理である。いや、普段はいているロシニョールBC110でも無理だろうし、たとえATスキーをもっていてもここで履こうと思えない。

そこで考えたのが、この急降下区間は徒歩での雪山歩きのときに使うKEENのウインターポートにスーパーカンジキのセットでクリアをして、林道区間から大二股山からはスキーで楽しむという計画。

そこでこのようなシートラスタイルとあいなった。いつものLOWアルパインのバックパックに登山趣味初期のころにつかっていたMIZUNOのディパックをくくりつけ靴入れとした。

これから先、札幌50峰を狙うにしろ他の山を狙うにしろシートラをおこなう局面がおきてくることも考えられるので、今回はその訓練でもある。

初めてのシートラにはこのYAMAHAのスキーとTOYOの靴の軽量さはねがってもかなったりなのだが、それでも重さが気になるので今回はいつも一眼スタイルは遠慮と相成った。カメラはSONYのコンデジとSIGMAのDP2の軽量セットとした。

このスタイルでいざ谷間を急降下。

雪は適度に埋まるザラメ。思ったよりも歩きやすい。春のこの時期にこのルートを選んだのは正解だった。スーパーカンジキとウインターポートの組み合わせは約一年ぶりだが心強い。

順調に降下をしていき、

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一本目の林道にたどり着く。

この日の中山峠付近望岳橋あたりからは霧が立ち込め、道中の天気概況では視程50m程度とのことだった。実際望岳橋から先は見事に霧につつまれていた。しかし、降下をしてくと当然ながら霧は薄まっていき、視野がなくなることはなかった。霧雨は間断なく落ちてはいたがそれほど気になる量ではない。

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木々は密にはえており、急傾斜とあわせてスキーでの降下はまったくもって私には無理だろう。

一本目の林道からさらに降下をしていき、

豊平川右岸林道

豊平川右岸林道

豊平川右岸林道へと到着する。

ここで、ウインターポート&スーパーカンジキのセットからYAMAHA STD CC &TOYOの靴に履き替える。

ウインターポートは最近の冬靴の例に漏れず対雪での防水機能は充分でこんな気温の高いザラメの雪での歩行でも足元を快適に保ってくれるのだが、スキー用の靴はなにぶん古いもので、一昔もふた昔も前のやすい陸上競技用のナイロン靴にゴムでテレコバをつけたようなもの。靴の中は起毛使用になっているが、どうみても防水にはなっていない。この点に一抹の不安をかかえていたが、この時期の豊平川右岸林道は雪を溶かすための重機がはいっているだろうとの予想が的中。靴を雪の中に突っ込むことはなかった。この時点での心配な点は天から落ちてくる雨による靴濡れだけだった。

果たしてスキーに履き替え歩み始めてみると、ものすごく足が軽快に進む。

いつものロシニョールBC110&スカルパT4だとシールをつけなくともこうはいかない。

感触でいうと、ロシニョールBC110&スカルパT4は「ズリズリっ」と引きずって歩く感触。

一方このYAMAHA STD CC&TOYOは「シュっ」と前に滑り出す感触。

クロカンスキーの評で滑走とかスキッドとかの表現が多くみられ、これまでは平地のスキーで大げさだなと思っていたのだがその考えは今回で大きく覆された。まさに、「滑走」であり「スキッド」であり「グライド」だ。非常に気持ちが良い。

そんな初めての感覚に感動しながら少し進むと、豊平川を渡る橋にたどり着く、

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橋の上は重機のおかげもありコンクリートが出ている。こんな場面でも今回のスキー装備だとスッと板をはずし軽いスキーを抱えテレ靴で歩き始めることができる。

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豊平峡深部

 

豊平川がつくり上げる渓谷美を堪能できる。これは紅葉時期にでも見てみるとまたちがった美しさを堪能できるのだろう。

この橋を渡ると林道は

漁入林道

漁入林道

漁入林道となり若干傾斜がついてくる。

だがこれくらいの傾斜ぐらいは今回のクロカン板だと平地変わらない感覚ですべり出すことができる。すごぶる快適だ。

雪が整地されたこの林道を左の眼下に漁入沢川をみながら進んでいくと

左大二股林道

左大二股林道

左大二股林道との分岐が現れる。
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ここからはザラメ雪の足首くらのラッセルとなる。

ラッセルに関してもこれくらいの傾斜地だとYAMAHA  STD CCは、適度にテール側が沈みこみトップのラウンド具合の効果もあるのだろう、トップが沈み込むことなくスキーを前に出しやすくしてくれる。

ロシニョールBC110だとスキーの太さもあるからここまで沈むことはないのだがもう少し深くなるとトップは雪の中に埋まり足を前にだすのが激しく難儀な行動となる。

その点からも、平地&緩い傾斜地でのクロカン板の優位性はすばらしい。

ただ、ここから心配していた古いナイロン靴問題が顕在化してきた。

足首までザラメの中に埋まる、靴についた雪は水分を多めに含んでおり、たやすく体温で水化する。その水が容赦なく靴の中に進入してくるのだ。

いままでの無雪期のハイキングでもキャラバンスタンダードや、普通のスニーカーをはいて不幸にも雨や朝露で靴下まで水浸しになったことは何度もある。そのたびに靴の重要性を考えさせられるのだが、雪山でこんな水浸しになってくるとは不快を通り越して不安を生んでくる。

春の雪山なので気温がそれほど低くならないのと常に運動をしている状態なので、凍傷のリスクはないので良いのだが、これが厳冬期だとしたらゾッとする。

写真を撮る気もこのあたりからうせだし、もくもくと林道をたどっていく。

途中林道をショートカットできそうな場所で、少しだけ急な沢形がありそこにふみいってみた。

そうすると途端にノーエッジのクロカン板の弱点が露呈してきた。

ハの字登高をしても所々でスリップをする。ジグザグ登高をしてもスチールエッジではないので、、エッジのかかりが悪く思うように進めない。センター幅45mmというのは、足の幅よりもかなり狭い。しかもきついダブルキャンバーで板のセンターへ向けてどんどん高くなっている。しかも、靴のコバと靴本体とのつなぎはゴムとナイロン。これは、エッジングをしようと板を傾けると靴がコバだけを残して、板からずり落ちるのだ。のぼりのエッチングでさえこれなのだから、通常スキーでの滑降をたのしめそうなz斜面でのターンなぞ望めないだろう。帰りはおとなしく林道をたどろうと心にきめた。

いや、それよりも今回の山行、途中敗退でも良いだろうとまでおもってきた。

そんな気持ちが湧き上がるたびにジオグラフィカを覗き、徐々につまる山頂までの距離を折れそうな心を奮いたたせ足を前に出していった。

大二股山山頂へのと取り付きやすいところから林道を離れ疎林の尾根を登っていく、緩い斜面なのだが、この板だとそこそこ苦労する。

なんとか稜線を見つけぐちょぐちょの靴に我慢をしつつ山頂を探してみると、疎林の果てに針葉樹でかこまれた一点の奥に

山頂広場

山頂広場

山頂標識をみつけた。丁度このあたりでぐずついてた空模様がちょっとの風によって雲を吹き飛ばし、青空がみえてきた。

福音のように感じたのは言うまでもない。

大二股山山頂

大二股山山頂

山頂広場に立ち入り山頂標識のそばで陽の光に温まり一服をした。相変わらず靴の中は不快なのだがひとごこちつけた。

帰りの最大の難関は最後の望岳橋までののぼり返しだろうと心においておいたのだが、この山頂からのくだりも今回のスキーでは難所となった。エッジングがうまくいかない。靴の材質がここまでターンに影響するのかと。

今回の装備は不完全だったのだと改めて反省をした。板の性能に関してはこれでよいので、靴とビンディングの見直しをおこなわなければ、楽しい山行には程遠い。

そんな気持ちを引きずりながら帰りの林道をとぼとぼと歩いていった。

前回の長尾山のくだりの満足度がたかかっただけに、今回のくだり時のギャップは激しい。のぼり時の軽快さがあったからまだ軽減されているくらいか。

のぼり返し地点で、ウインターポートに履き替えようとびしょびしょになった靴を脱ぐと靴下が絞れそうなくらい水を含んでいた。

はだしでウインターポートに履き替え、スーパーカンジキを装着し、250mののぼりを休み休みのぼって、望岳橋の駐車場までたどりついたころには、豊平渓に虹がかかっていた。

札幌50峰 42/50 大二股山(856m) GET

 

撮影場所
北海道札幌市南区定山渓 豊平川右岸林道
アプローチ難度 ★★★★☆
景観 ★★☆☆☆
撮影機材 SIGMA DP2