石狩川の下流域。地名で言うところの石狩市の生振や船場町、美登位等々、現在は広大な農地が広がる札幌近郊の食料庫としてなくてはならない存在だ。
ところがこの地域、かつては北海道の三大湿原の一つとして数えられていた石狩湿原に覆われていたのだ。
もちろん湿地は農耕に適さない。
必然、人と自然との戦いが始まるわけだ。
生振捷水路、当別捷水路などで石狩川本流をショートカットし、茨戸川や真勲別川がうまれたのをはじめ、この地には数々の用水・排水の水路が存在し、この広大な湿地の排水事業をおこなっていくのである。
その結果、石狩湿原は地名として消失し、現在の同地区の農耕地としての拡大がかなったのだ。
だが、その名残はある。
それが、ここマクンベツ湿原なのだ。
石狩川下流域の堤防内の馬鹿みたい広い河川敷に残されたこの湿原は、葦原とハンノキの林に覆われ、原初の石狩湿原の姿を垣間見ることができるのだ。
そして北国の遅い春の訪れとともに、この湿原には水芭蕉の花が咲き乱れる。
マクンベツの水芭蕉
写真を撮るようになり、風景を撮りに出かけ、以前よりも季節の移りかわりに敏感になった。
花は季節の移り変わりを感じられる絶好なアイコンだ。
なので、行く先々で花を撮ってみたりしている。
水芭蕉は春の訪れを一番最初に感じさせてくれる。
昨年は手稲の星置緑地に水芭蕉目当てで訪れたし、山に登っていったときも、道沿いの湿地に水芭蕉をみかけたりして、そのたびにカメラを向けたり見ほれていたりしていたのだが、このマクンベツ湿原の群落は見事なものだった。
広いハンノキの林の中に水芭蕉がそこかしこに密集しているのだ。圧巻だった。
石狩湿地がもっと広大だったときはもっともっとすさまじい景観だったのだろうか。
マクンベツ湿原の中には木道が敷かれており、ハンノキの林、葦原、の湿原の植生を堪能できる散歩道となっている。
この木道をずっとあるいていくと、雪解け水によって水かさが増している石狩川本流を見ることができた。
マクンベツ湿原木道をぬけて石狩川へ
春の霧の向こうにかすんで見える対岸にこの川の大きさを感じた。
撮影場所 |
石狩市船場町
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アプローチ難度 |
★★☆☆☆ |
景観 |
★★★★☆ |
撮影機材 |
NIKON D3000 |