今はもう稼動していない札幌南区定山渓の奥の豊羽鉱山。そこに通じる道道95号沿いに流れる大きな川が白井川。
割と山奥に位置しているこの豊羽鉱山への入り口となる道道95号の終点でもご覧のように冬のくせに豊か流量をほこっています。
そして落差工のような川道から白井川に流れ落ちているのが、左大江沢川。
こう見ると、こちらもかなりな流量のように見えますが、もう少し上流にいくと山間部の美しい沢筋を雪解け後にはみせてくれます。
今回は、この両河川に挟まれた尾根筋を伝って札幌50峰に数えられている美比内山へとのぼってきました。
選鉱場ゲート前
スタートは豊羽鉱山の選鉱場のゲート前。もう稼動はしていないのですが、時折いろいろな作業車がゲートをくぐっていきます。
そういえば、自動車を買ってすぐのころ、豊羽がまだ鉱山町だったころ、朝里峠をぬけて小樽に行こうと思ったところ、間違って豊羽にきたことがあったな~なんて事をおもいだしました。どこにたどり着いたのかはもう覚えていませんが、坂をぐいぐい上っていった記憶だけはあるので、もしかしたらこの辺まできていたのかもしれません。そのとき丁度道を歩いていた銭湯帰り風の人に「小樽にいくにはどういけばいいのですか?」ときくとその人は「は?」という顔をして「ここからはいけませんよ」とおしえてくれました。地元の人にしてみればまったくもって変なやつにみえたんでしょうね。
閑話休題
今回の山道具はロシニョールBC110&ボレー3ピン&スカルパT4です。
そして前回の奥手稲山の反省をこめ、金具に72mのクライミングワイヤーを調達、装着をしました。
選鉱場に張り出した尾根から取り付くこととして、この雪の壁を乗り越えて、まずはシールをつけずにすすみました。
わりとこの尾根急傾斜で階段登行や八の字で登っていくことがおおく、尾根の途中でシールの装着をしました。
シールを貼る前は結構スリップして苦労をしていましたが、やはりシールをつけると、のぼり加減が違います。
そして今回導入をしたクライミングワイヤーを立ててみると、前回の奥手稲山でなきそうになった登りがなんとまぁ!楽しいこと楽しいこと!。
シールでの歩行方法もなれてきたのかもしれません。前回はつま先をつかってスキーを引きずるように送りだす山スキーでのシール歩行方法でのぼっていて、シールの負荷に辟易していました。
でも今回は、歩き方を少し変えて、スキーを送りだす時、サッカーボールを蹴るような感覚で蹴りだしてみると、シールもシュシュシュ~と音を立てて滑ってくれました。
ラッセルのほとんどないモナカ雪だったのかもしれませんが、前回の苦行とは打って変わっての極楽歩行です。
歩くのにもテクニックがあるんですね。
シールへの信頼感もましてきて、山周りキックターンも滞りなくおこなうことができました。
なだらかな斜面
最初の急傾斜をクリアするとあとはしばらくなだらかな斜面となります。
まったく極楽ツーリングです。要所要所でGPSをチェックして方向を確認しながら静かな冬の森をゆっくり散歩。
ただ、天気が標高を上げるごとに悪くなっていくのが残念でしたが。
美比内山頂がみえてきた。
あたりが雲に包まれるくらいになり雪もおちてきたころに、目の前にドーンと美比内山の山頂がみえだしてきました。
写真だとかすんで見えにくいですが、山頂稜線には立派に張り出した雪庇が! しかもそこそこの傾斜。
稜線を見渡し上りやすそうなルートを求めて若干北よりに移動をしていきました。
この選択は正解だったようで、トレースも何本か見ることができました。
シールを効かせ、きつい傾斜はキックターンを駆使して楽しく登って山頂まであと数10mくらいのところ。風をさえぎるものがなくなってくると、ビュービューと今までとは打って変わっての強風となりました。
こりゃあ雪庇も育つわ~~と一人ごち。
そして雪面は締まったモナカ雪からアイスバーンへ。
雪山ガイドにはスキーに自身がなければデポしてツボ足で。なんて書いていましたが、ツボ足の場合は要アイゼンですね。
私の場合は、新しいスキーで、エッジも効きやすいので階段登行で慎重にのぼっていきました。
稜線上の木々はダケカンバが主で枝には立派なえびの尻尾。
まったくもって真冬の世界です。
こんなに風がつよいとえびの尻尾に感激することもなく早く山頂にいきたい気持ちでいっぱいです。
そして、
念願の頂上へ!
あたりは厳しい真冬のお山
絶景のお山とのことですが、この天気だと無理ですね。
たまにご近所の定天がみえたくらいです。
そして、ここで私の足がつりだしました、、、。
凄い痛い、、。
これからスキーで下降なのに。、、、。
とどまるわけにもいかないので、山頂直下の雪のついている急斜面をシールをつけたままゆっくりおりだします。
山頂直下の雪庇
雪庇にびびりながら風がよけれて若干傾斜が緩いところまでずりずりと横滑り。
足のつりをだましだまし、シールをはずして、さぁ滑ろう!
さぁ、滑ろう!
さぁ、滑ろう!
いえ、、、
いえ、、、
すべれませんでした。
モナカ雪がこんなにも手ごわいなんて、、。
スキーがまったくずれません。
しかも逆エッジまつりです。
そんな状態なので、少しでも樹木がこんでたり、傾斜が少しだけ急でスピードが乗りそうだと、ビビリセンサーが振り切って、気持ちが斜面に迎えません。
楽しいはずと妄想していたスキーの山くだり。
またしても夢にきえてしまいました。
前回の奥手稲の惨劇の後、ゲレンデで練習をしてきていたのですが、モナカ雪ではまったく歯がたちませんでした。
これはまだまだ練習が必要です。
ただ、今回の山行で奥手稲山の時からは登り技術があきらかに上がりました。
ヤマケイの登山技術全書5 にあわせると、
- 平地歩行
- 直登高
- 斜登高
- 階段登高
- ウォークラウンドターン
- 山向きキックターン
なんかの登り技術は自分のものとしてできましたし、
もしっくりした感触を得ました。
ゲレンデでの練習も含めまだまだ練習ですね。
札幌50峰 38/50 美比内山(1071m) GET
撮影場所 |
北海道札幌市南区豊羽鉱山 |
アプローチ難度 |
★☆☆☆☆ |
景観 |
★★☆☆☆ |
撮影機材 |
NIKON D3000 |