当別川と三番川の合流点(青山貯水池)~神居尻山山頂より~
残雪の残る斜面の向こうにかすんで見える樺戸山地の谷あいに流れる当別川をせき止める青山ダムによって作られた青山貯水池。
ここ神居尻山から流れ出す三番川との合流点もある。
神居尻山は石狩郡の当別町の町内に属しているのだが、ここの稜線をたどり樺戸山地のピンネシリまでたどり着けば空知のそれも中部地区である新十津川町へと抜けることができる。
北海道の各支庁(現振興局)の区切りはだいたいが水系とその分水嶺を元に区切られている。
だが、石狩と空知の境界の根拠がいまいち把握できていなかった。
しかし今回自宅の札幌から当別川に沿って流れる道道28号ふくろう街道をたどりここまできてみると合点がいった。
石狩川の下流で合流している当別川と千歳川の両河川の流域を石狩地方としているのだ。
同じく石狩川下流域で合流している河川には、夕張川もありその流域の大部分は空知地方なのだから、その認識は違うという向きもあるだろが、元々夕張川は南幌と北広島の境界あたりで、千歳川と合流していた。その地点は旧夕張川が流れていることを現在でも確認できる。その流路は夕張川とあわせてすべてが空知地方であるのだ。
開拓期の舟運の要であった、江別およびその下流に位置する当別に流れている千歳・当別両河川をたどって石狩としたのだろう。
多分、開拓史などを丁寧に紐解けばすぐにわかったのだろうが、元来の不精ものの私は、ここまできてさらに神居尻山へと登る山道の中でやっとその考えにいたれた。
以降は、その神居尻山への山行記録を下記に示す。
スタートは道民の森・神居尻地区の学習センターの臨時駐車場から。
春紅葉が美しい。このアスファルトの車道を山に向かって歩き出ししばらくすると、林の中へと遊歩道が切られている。
三番川のそばに切られたこの遊歩道上には丁度桜が見ごろをむかえていた。
この静かな遊歩道をゆっくりとあるき、再度車道に行き当たると、
神居尻山Bコース登山口だ。
ここで登山届けをだして登山道へとはいっていく。
序盤は九十九折の坂道を春の息吹を感じながら穏やかに登っていく。
この日の気温は割りと高めで、まだまだ葉が茂りきっていないな林の中は日の光がどんどん射し込んでくる。
道中には里山の春の花がそこかしこにさきみだれていた。
ゴゼンタチバナ
ミヤマスミレ
カタクリ
ほかにも、エンレイソウ、ツツジ、ショウジョウバカマ、エゾエンゴサク、ニリンソウ、エゾイチゲ等々、枚挙にいとまがない。
そんな花の山をたのしみつつ歩いていくと、
標高400mあたりくらいから、
果てしのない階段の急登が始まる。
ひたすらこの階段を登っていくのだ、
稜線は目の前にみえているのだから距離はそれほどのないのだろうと登るのだが、なかなか稜線へはたどりつけない。
途中に休みどころがあり、中間点かとおもいきや、標識を見てみると登山口から800mとかいてあった。
まだ、800mしかすすんでいないのかと愕然とした。
登山道の総距離が2.7kmと短いことからこのBコースを選んだのだが、失敗だったとこのとき不覚にも思ってしまった。
この階段を少し登り足を止め、少し登りまた足を止めを繰り返し息を切らしながらのぼっていく。
夏山登山の感覚を徐々に取り戻しながらもくもくと登る。
階段の林を上りきると、やっと稜線の道へと飛び出す。
ここからは大パノラマの連続だ。
まだ芽吹かないだけかんばの隙間から雪をたたえた増毛の山々を背後に感じながら、深く切れ込んだ左右の谷をぐるっと回るように稜線は続く。
途中、途中、大小のこぶを越えていく急な坂道もある。
だが、そのこぶに乗ったあとの展望が疲れを癒してくれる。
趣味として登山を始めて、二年目になるが、夏山での規模は小さいがダイナミックな稜線歩きは始めての体験だ。
今、写真を見返しても気分が上がる。
山頂への急登を息を切らせながらゆっくりと歩いていると道警のヘリがぐんぐんちかづいてきた。
稜線上を旋回している。
遭難者でもでたのだろうかと一抹の不安を抱えながら、急坂を登りきり、
山頂が目の前のところまでくる。
遠くにレーダードームを携えるピンネシリと、Aコースの稜線上に建つ非難小屋。
この風景を見たくてここまできたのだ。
高所にある小屋をみるのも始めてなので、うれしくなる。
ニコニコしながら気分よく後は山頂を踏むだけと、歩みを進めていくと、山頂には4人ほどたっていた。
どこかのパーティかとおもいつつ山頂に到着をして、そのうちの一人と挨拶を交わす。
曰く、
BコースとCコースの間辺りで羆の発見があったとのこと。
そして、
先ほどから上空を旋回している道警のヘリは、女性二人の登山客が救助要請を出したために飛んできたとのこと。
その女性客は非難小屋あたりに居ることを山頂からも確認できた。
道警ヘリは稜線を旋回し、その女性客の上空でホバリングをし女性を吊り上げ、救助作業をはじめた。
期せずして神居尻山からの山頂写真はヘリによる救助作業の光景も写ることとなったのだ。
道警ヘリは女性二人を回収しとびさっていった。
残された山頂の3人と私を含めた4人。
件の三人にはパーティではなく、別々にのぼってきた3人だそうで、羆の知らせがあり道警ヘリが飛んでいたことで、即席のパーティを組みBコースを使って下山をするとのこと。
私も誘われた。
今回の山行用にエスビットのコンパクトストーブとモンベルのクッカーを新調し山頂で湯を温めようとおもっていたのだが、どうやらそんな悠長な雰囲気ではなくなってしまっていた。
私も即席パーティに加わることを決め、下山を開始した。
パーティのリーダー格となった男性はこの山へはよく来ているようで、私を含めた残りの三人は始めてなので、彼の指示とペースに従い進んでいった。
初めての身内以外でのパーティだ。
途中途中休みながら山談義をしつつBコースをおりていく。
登山中もそうだったのだが、Bコースには羆の気配は微塵もなかった。
春先とはいえ、昼の1時くらいの真昼間。気温も20度をこえている晴れ。人里からはなれているとはいえ、治山の工事や自衛隊の演習が入っているこの山。羆がそんな時間に活発に動くとは思えない。
でも、発見報告があり、道警ヘリも存在を確認したようなので要ることはたしかなのだろう。
まったくもって穏やかな天気の中、羆の気配に注意をしながら4人で無事に到着できた。
帰りしな道民の森の管理人氏にねぎらいの言葉を受け、4人とも思い思いに車に乗り帰路についた。
撮影場所 |
北海道石狩郡当別町青山奥 神居尻山山頂
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アプローチ難度 | ★★★★☆ |
景観 | ★★★★★ |
撮影機材 | CANON EOS KISS X2 |